第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「食事がちゃんとできるようになったら、勝己は何か食べたいものある?」
「激辛麻婆豆腐」
「ダメ。看護師さんに聞かなくても断言できる」
「食えるわッ! 俺の胃袋舐めンじゃねぇ!」
「普通の麻婆豆腐ならまだしも、激辛なんてダメ」
「ダメダメうるせぇ! 轟のは作ってンじゃねぇか!」
「これは香辛料もそんなに入ってないの」
「知るかンなこと!」
「勝己は、看護師さんから許可もらって、香辛料なしの甘口麻婆豆腐からね」
「それは麻婆豆腐とは言わねぇ」
轟は黙々と食べながらも、箸の合間に自然と口を挟んでくる。
「凪。爆豪になんか作るんなら、俺の分もいいか?」
「焦凍も食べる?」
「ああ。なんでも食いたい」
「…うん、分かった。いいよ」
「いいわけねぇだろうが。たとえ金払っても食わさねぇ。凪もいつまでも轟を甘やかすな」
「甘やかしてるわけじゃないよ。焦凍は私の料理をいつも美味しいって言ってくれてたから…。美味しいって言われないのも寂しいし…」
「凪の料理が美味ぇのは俺だって知っとる」
「でも勝己はいつも普通って…」
「それは爆豪の照れ隠しだな」
「うっせぇ…。俺ァ、凪の飯を残したことなんてねぇだろ」
「そういえばそうだね…。いつも、全部食べてくれてたね」
「わざわざ言わんでも分かれや」
「不器用なんだな、爆豪は…」
「お前に言われる筋合いねェんだよ」
轟のせいで調子が狂う。けど、凪はどこか嬉しそうで、二年前のあの空気が蘇る。