第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「退院したら、俺ン家にこい」
「……え?」
「凪のアパートは残しておきゃいい。けど、生活は俺ンとこでしろ」
「……いいの?」
「俺がそうしてぇンだよ。ツーか、もっと早くにそうすべきだったよな」
「いいんだよ。今、そう言ってくれるだけで嬉しいから」
「よくねぇ…。そのせいで5ヶ月も轟の野郎ンとこに行かせちまった」
「まだそんなこと言ってる。焦凍を悪者にしないって約束したでしょ?」
「悪者にしてねぇ。けど、凪をたぶらかしたのは許してねぇ」
「その言い方…」
「ついでに凪が焦凍って呼ぶのも俺は認めてねぇ」
「でももう慣れちゃった」
「……そうかよ」
明らかにむすっとした表情に、乾いた舌打ちが病室に響く。
もちろん、勝己に意地悪がしたいわけじゃなかった。焦凍が私の気持ちを守ってくれたように、私だって焦凍の気持ちは大切にしたかっただけ。でも、このあからさまな勝己の妬きもちが可愛くてしかたない。
「ねぇ勝己…」
「…ンだよ」
「元気になったら、して欲しいことがあるの」
「あ…?」
「私がずっとつけてた桃色のかすみ草のチャーム、覚えてる?」
「ああ、鞄につけとったやつか?」
「うん、そう…。あれね、金具のところが壊れちゃったの。だから、直してもらえないかな」
勝己は知ってるはず。あのチャームには勝己がくれたかすみ草が入ってることを…。別れた後も、ずっと捨てることもしまうこともできなかった、私の大切なもの。
「……わーった」
「ありがとう」
病室のテレビには、各地のクリスマスツリーが中継で映っていた。クリスマスをお祝いする人々、祈りを捧げる人、オルゴールの音色に合わせて笑う子どもたち。これは、ヒーローたちが守ってくれた笑顔だ。
「今日、クリスマスだったね」
「ああ」
「来年はちゃんとクリスマスを過ごそうね」
「今も過ごしてんだろうが」
「そうだけど。ツリーを飾って、ケーキを準備して…って」
「俺は凪がいりゃそれでいい」
「じゃあ、勝己も一緒にいてね」
「ああ。凪も約束破んなよ」
「うん…」
チャームを直してもらったら、今度は勝己のマンションの合鍵につけよう。
新しい日々が二人の色で始まる、そんな気がする。