第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
事件の後に迎えた今年のクリスマスは、例年と比べてはお祝いムードではなかった。普段ならどこからか聞こえてくるクリスマスソングも、聞こえてこない。子供達の笑い声が戻っていても、誰もが今回の事件の胸を痛める。それでも12月の空は綺麗に澄み渡っていて、街の振興に希望を見出し、顔をあげる者も多い。
私だって、その一人だ。勝己はようやく起き上がれるようにはなったけど、しばらくは入院が必要で、私は毎日面会に通っていた。言葉を交わして、同じ時間を過ごして、少しずつ勝己との空白だった時間が埋まっていくのを感じていた。
「大丈夫?起き上がれる?」
「ん…」
体を起こした勝己の背中に腕を回して支えた。まだ万全ではないけど、少しずつ腕に力が戻ってきているのが分かる。
「まだ無理しちゃだめだよ」
「無理なんざしてねぇ。少しでも体動かさねぇとなまっちまうんだよ」
「でもまだ制限があるでしょ?勝己が無理ばっかり言うからリハビリの先生、困ってたよ」
「あんなもんリハビリでもなんでもねぇわ。もっとキツいメニュー持ってこいや」
「言っとくけど、本当に命が危なかったんだからね」
「……分かっとる」
勝己はトーンを落とし答える。いつもみたいに言い返してこないことの方が胸に刺さる。
「俺は早く帰りてぇんだよ…」
ぼそっと付け足された言葉に、思わず顔を上げた。
「それは分かるけど…」
「面会時間も制限あって、凪といる時間もあんまねぇだろ?」
その問いに勝己と視線が重なる。
「足りねぇんだよ…」
ただ真っ直ぐな視線と言葉は、私の感情も逃してくれそうにない。