第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「勝己、大丈夫だからね。私がいるからね」
その流れが確かに繋がっていくのを感じた。弱かった鼓動が、ほんのわずかに力を取り戻していく。
「……戻ってきてる」
弱々しかった呼吸にも、わずかな変化が現れる。顔を上げ、心配そうに見つめている医療スタッフへはっきりと告げた。
「私と一緒にこのまま病院に運んでください。維持できます」
一瞬だけ息を整えてから、言葉に力を込める。
「……私が、助けます」
その言葉に、周りが一斉に動き出した。絶望に包まれていた空気が変わり、現場が慌ただしくなる。
ストレッチャーに乗せられた勝己のそばに寄り添いながら、私は何度も名前を呼んだ。目は閉じたままだったけど、手に伝わる確かな鼓動が希望へと変わっていく。
私はきっと、〝助ける〟という言葉が怖かった。痛みを取り除くことも、傷を癒すこともできない私が、誰かを〝助ける〟なんて烏滸がましいとどこかで自分を否定していた。
でも、繋ぐことは、助けるための一歩だった。誰かにバトンを渡すことも、支えることも、その先を信じることも…。私はただ、目の前の人を支えたいと思うだけでよかったんだ。
「ねぇ、勝己……生きよう」
それが私のずっと心の中にあった、勝己への想いだった。
勝己を病院へ送り届けたあと、私は意識を失うように倒れ込んでしまった。
目が覚めた時には、この事件も収束していて、勝己は一命を取り留めたと焦凍から聞かされた。それを聞いた瞬間、胸の奥に溜まっていたものが、静かにほどけていった。
もし、自分が生きてきた意味をどこかで問われることがあるのなら
きっと、私は迷わず答える。
この一瞬のためだったのだと。