第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「医療スタッフはいますか…ッ、重症者です!!かっちゃん、もう少しだから…!」
必死に呼びかける声が、どこか遠くに聞こえていた。目の前の光景が悪い夢みたいで、現実感がない。
「勝己……?」
全身が震えて足が動かなかった。近づかなきゃいけないのに、身体が言うことをきかない。ただ、怖い。見てしまったら、全部が本当になってしまう気がして、指先が、小さく震えていた。
「デク!こちらに運んでください」
医療スタッフが手を挙げて誘導していた。
「はいッ!」
緑谷君は勝己を抱えながら簡易テントへと運ぶ。
「背後を狙われました。出血が酷くて、意識も朦朧としています」
横たわった勝己の体は血で染まって、薄く開いた唇からはかろうじて呼吸音が聞こえてくるだけ。
「バイタル確認します!」
医療スタッフの声がテントの中に響いた。手際よく装置が取り付けられていき、腕には血圧計、指先には酸素濃度を測る機器が装着される。
「血圧低下、脈拍微弱」
「出血量が多いです、止血急いで!輸液ルート確保!」
次々と飛び交う指示に、周囲の空気が一気に張り詰めた。勝己の体にガーゼが当てられ、赤く染まっていくのが目に入る。
「かっちゃん、聞こえる…?しっかりして…!」
緑谷君の声が震えている。機械音が一定のリズムで鳴っているはずなのに、その音すら不安定に聞こえた。視線を逸らしたいのに、逸らせない。
「血圧さらに低下しています!」
「搬送準備!すぐに病院へ!」
必死に命を繋ぎ止めようとするその光景が、あまりにも現実で残酷で、私はただ立ち尽くすことしかできなかった。