第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
路地裏を抜けて辿り着いた公園には、すでに多くの人が集まっていた。救助にあたるヒーローや医療スタッフたちが慌ただしく動き回り、負傷者の手当てや避難誘導が行われている。
「こちらへ」
誘導されるまま、おばあさんをベンチに座らせる。張り詰めていた緊張が少しだけほどけて、私もその場にしゃがみ込んだ。
「はぁ……」
息を吐いた瞬間、自分がどれだけ力を入れていたのかを思い知る。手のひらはじんわりと汗ばんでいて、指先がかすかに震えていた。
「あなた、本当にありがとうね」
隣でおばあさんが小さく微笑んだ。その声にほっとしながらも、胸の奥に残るざわつきが消えない。
「いえ…、無事でよかったです」
そう答えながら、空を見上げた。遠くではまだ煙が上がっていて、ときおり閃光が走る。まだ、終わってない。その光景に、胸の奥がきゅっと締め付けられる。
勝己は、あの中にいる。
焦凍も、きっとどこかで戦っている。
その時だった。遠くで、ひときわ大きな爆発音が響く。地面が微かに揺れて、周囲にいた人たちも一斉にざわめき、不安げに空を見上げた。全てを飲み込んでしまいそうな黒く大きな煙が空に広がっていく。その光景から、目を逸らすことができなかった。
「……っ」
胸がざわついて、嫌な予感がじわじわと広がっていく。両手をぎゅっと握りしめて、祈ることしかできない自分がもどかしい。
「……お願い、無事でいて」
小さく呟いた声は、周囲のざわめきに紛れて消えていった。
それから、どれくらい経ったのか分からない。ほんの数分だったのかもしれないし、もっと長く感じたのかもしれない。ざわめきの向こうから慌ただしい足音が近づいてきた。
「道、開けてください!」
聞き慣れた声に、心臓が大きく跳ねる。視線を向けた先に、人混みをかき分けるようにして現れたのは、緑谷君だった。
「かっ……ちゃん、しっかりして…!」
緑谷君の腕に抱えられていたのは勝己だった。ぐったりとした身体。だらりと垂れた腕。ヒーロースーツはところどころ破れていて、そこから滲む血があまりにも多い。その光景に、息が止まる。