第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
どこに向かえばいいか分からなかった。ただ、閃光から逃げるように進む。だけど瓦礫を避けながらでは思うように進まなくて、逃げ惑う人に追い越されていくばかりだ。
「お嬢さん、もう、いいのよ…。私は、ここでいいから」
「そんなこと言わないで。もう少しですから…」
だけど体力もどんどん削られていって、先の見えない不安だけが募っていく。焦凍や勝己は大丈夫なのだろうか、冬だというのに汗が止まらない。
「凪…ッ!」
その時、ふと名前を呼ばれた気がした。いや、聞き逃すはずのない声だった。振り返ると瓦礫と煙の向こうから現れたのは勝己だった。
あの日、別れてから初めての再会だった。
「…ンで、こんなとこいんだよッ」
私たちに向かって突き進んでくる。迷うことのない真っ直ぐな瞳は私を捉えて、心の奥がざわめき鼓動が早まる。
「勝己…」
目の前に降り立ったヒーローはあの時と変わらず、埃の中に火薬の匂いも混ざっている。だけど、さっきの大きな爆発で負ったのだろうか。頬や腕には傷ができていて、血も滲んでいた。
「怪我…」
「ンなこたぁどうでもいい。それより、逃げろ。敵はいずれこっちにくる」
「え…」
「凪はばぁさん連れて逃げれるか?」
「私はいいの、もう。このお嬢さんだけでも逃げて?」
「こいつにンなことできるわけねぇ。ばぁさん、こいつの為にも一緒に逃げてやってくれ」
「でも、あなた…」
「ばぁさんいねぇと花が買えねぇだろうが」
「あなた…、あの時の男の子…」
勝己は少しだけ微笑んで、その後、私に視線を移す。真っ直ぐで迷いもなくて、私のことを信じてくれている瞳だ。