
第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
突然、耳をつんざくような爆発音が響き、店内の花が揺れた。棚の瓶がガタガタと震え、いくつかは床に落ちて割れてしまった。おばあさんは衝撃でバランスを崩し、床に倒れこんでしまうのをなんとか支えるも、衝撃音にまた店内は揺れる。
「何が、起こってるの?」
おばあさんを抱きしめながら、店内は花や瓶の破片が周囲に散らばっているのを目の当たりにして、体は小さく震えていた。
「あなたは、大丈夫?」
「大丈夫です」
そう言いながらも、遠くで何度も爆発が繰り返されるのをただ見つめるしかなかった。
「でも、どうしよう…。おばあさん、逃げなきゃ」
「あなただけでも逃げなさい」
「そんなことできません」
「私はいいのよ。このお店に残るわ」
「だめです。一緒に逃げます」
「こんなおばあさん、置いて行きなさい」
その時、ふと勝己と焦凍の顔が浮かんだ。
「私の恋人は、ヒーローなんです。こんなところで立ち止まっちゃダメなんです」
言葉を吐き出すと、心の中に小さな光が差した気がした。ただ震えているだけじゃ、誰も助けられない。私にはおばあさんを支える腕がある。
倒れた棚や散らばった花を越えて、一歩ずつでも前に進めるはずだ。私は深呼吸をして、自分の手のひらに力を込めた。小さくても、今、できることがある。立ち上がったおばあさんを支えながら出口へ向かった。
店の外は煙で霞んでいた。さっきまでの平穏な状況が一変して、瓦礫が転がる歩道には逃げ惑う人々の様子が視界に広がり、まるで悪い夢を見ているようだ。遠くでまだ破裂音が続いて、ヒーローたちが交戦しているのか閃光が空に走る。
「敵はあの光の先だと思います。今の内に行きましょう」
「でも、私は足が…」
さっきの衝撃のせいで足を痛めてしまったのかもしれない。一歩歩く度に、おばあさんは表情を歪めていた。肩に抱え込むと、彼女の体重がずっしりと腕にかかった。
「大丈夫です。私が支えます。ゆっくりでいいから」
「ごめんなさいね。あなたまで巻き込んでしまって」
「いいんです。私、このお店に来るのは運命だったと思うから…」
この瓦礫の中を進むのは怖かった。でも、救命チームでいた頃の私は恐れなんてなかった。ただ、繋ぎたくてそれしか考えず、前だけを見ていた。おばあさんの温もりを感じながら、ゆっくり歩みを進める。
私にだってまだ、できることがあるから。
