第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
朝のキスの余韻がまだ残るまま、私たちはゆっくりと朝食を済ませた。リビングにはトーストの香ばしい匂いがまだほのかに漂い、窓から差し込む光がテーブルの上に柔らかく落ちている。焦凍はコーヒーカップに口をつける。
「コーヒー、おかわりする?」
「ああ、頼む」
短いやり取りをしながら、リビングに流れる朝のニュースが耳に届く。穏やか声のアナウンサーが今日の天気や交通情報を淡々と伝えていて、外の明るい光と重なり合い、部屋全体が穏やかな朝の空気に包まれている。
「こんなにゆっくりできるのって久しぶりだね」
私はポットを手に取り、ゆっくりとカップに注いだ。湯気が立ち上り、ほろ苦い香りが鼻先に届く。
「そうだな。あんなに眠れたのは久しぶりだ」
「ヒーローに休みはないのかもしれないけど、でも、今日からちゃんとお布団で寝るようにね」
「いいのか?」
「私がソファで寝てもいいし」
「もう一緒でいいんじゃねぇか?凪がいるとよく眠れる気がする」
焦凍の言葉は嬉しかった。だけど、ふいに昨日の焦凍の吐息や表情が蘇ってしまって、体の奥がじんわりと熱くなる。
「私は、まだ、少し恥ずかしいかも…」
「じゃあ慣れねぇとな。少しずつお互いを知ってくんだろ?」
視線を下に落とすと、焦凍がそっと私を見て微かに笑う。
「…ねぇ、そういうのずるくない?」
「そうか?」
「だってそう言われたら断れないもん」
「嫌なら無理強いはしねぇけど」
「…嫌じゃない。でもね、多分、ドキドキして眠れないかもしれない」
昨日は体まで重ねた関係なのに何を言ってるんだろうと自分でも思う。でも、毎日好きが増えていくとうことは、焦凍の見せる表情にも翻弄されて感情が乱されることなんだろう。
「そりゃ困ったな…」
焦凍の声に思わず胸がじんわり熱くなる。はにかむように笑った横顔を差し込んだ光が柔らかく包んで、日常の一瞬ひとつひとつが、真新しく鮮やに感じられた。
「続いてのニュースです」
静かな空間に、テレビから抑えたトーンのアナウンサーの声が落ちる。二人は自然と、画面へと視線を向けた。