第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
* 凪side
朝の光が障子の隙間から差し込み、まだ夢の余韻に包まれたまま目を開けた。焦凍の腕の中で柔らかな寝息が耳に届く。少しだけ顔をあげて、その寝顔をそっと眺める。いつもならわずかな物音にも気づくのに、今は深い眠りに落ちているのだろうか。安心したような表情に、胸がじんわり温かくなる。
昨夜のことが、まるで昨日の夢の続きのように蘇る。焦凍に抱きしめられた瞬間の体温、唇の感触、耳元で囁かれた言葉…。あの時の胸の高鳴りや甘い余韻が、まだ体の隅々に残っている。思い出すたび、自然と頬が緩む。
そっと腕から抜け出し、布団の柔らかさを足の裏に感じながらバルコニーへ出る。冷たい朝の空気が肌に触れて、体に残る昨夜の温もりとのギャップに思わず息をのむ。白い光に目を細めると、世界が柔らかく輝いて見えた。
朝の空気を胸いっぱいに吸い込み、バルコニーの片隅に置かれたブルースターに目が止めた。10月の光に照らされて、花びらは少し色あせ、深い紫へと変わっている。
そっと指先で花を触れると、冷たく、かすかに乾いた感触がした。ふわりと香る甘さはまだ残っていて、触れるたびに心が静かに落ち着いていく。枯れかけているのに、精一杯に咲こうとするその姿が、昨夜の焦凍の優しさやぬくもりと重なって切なさがにじむ。
「…まだ、頑張ってるんだね」
小さく呟くと、花びらが風に揺れて答えるようにふわりと揺れた。手に残る柔らかさを感じながら、心の中も少しずつ温かくなる。昨夜の余韻と、この静かな朝の光が混ざり合って、世界が優しい色で満ちていくようだった。
「凪…?」
背後からの低い声に、ハッとして視線を上げた。振り返るとまだ眠そうな表情の焦凍が立っている。
「布団にいねぇから焦った…」
「あ、ごめんね。焦凍、よく眠ってたから起こさなかったの。…よく眠れた?」
「ああ…。久しぶりに熟睡した気がする」
「そっか。今日、オフでしょ?もう少し休んでていいんだよ?」
「いや、もう目が覚めた」
焦凍はそっと隣に腰を下ろした。並んで同じ花を見つめる。肩が触れそうな距離に、自然と胸がじんわり熱くなる。