第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「爆豪のこと、消せとは言わねぇ。でも…、今、凪の隣にいるのは俺だ」
揺れる瞳に引き寄せられるように、そっと唇に触れる。触れるだけのはずだったのに、離す気になれない。抱きしめた腕に、わずかに力を込めた。逃がさないように。確かめるように。
こんなにも凪の全てが欲しいと強く思ったことはなかった。抱きしめてキスをするだけじゃ足りない。柔らかな肌も、まだ触れたことのないその先も自分のものにしたくて、気がつけばソファに凪を組み敷いて何度も口付けていた。凪は嫌がるでもなく、ただ受け入れて、口付けの合間に苦しそうに息を整える。
「悪ぃ…」
僅かに残る理性がブレーキをかける。この手で凪の傷が癒えるまで抱きしめていたいだけなのに、その傷口のさえ自分で埋めてしまいたいと、欲が重なる。
凪の涙の跡を指で拭って、頬を包み込むように左手で優しく触れる。
「嫌なら、止める」
凪の瞬きも見逃さないように、口が開くの待った。
「焦凍の手はあったかいね…」
俺の左手に手を重ねるように触れ、目を閉じる。涙がゆっくりと頬を伝って指先を濡らした。
「私もね、ちゃんと前に進みたい…。いつか、勝己に心からおめでとうって、言いたい」
「……じゃあ、その〝いつか〟がくる時も俺は凪の隣にいる」
「…ありがとう」
弱々しい声に、ただ胸が痛む。力を入れて抱けば折れてしまいそうな華奢な体は涙に震えていて、抱き締める腕に離したくないという感情が滲んだ。
数えるほどしかしていなかったキスも、いつの間にか馴染んでいた。凪の体を抱き上げて、和室の布団へと寝かせる。ただキスをして、指を絡める。
そのまま身に纏う服をゆっくりと脱がせた。触れ合う肌が少し冷たくて、唇でなぞるようにゆっくりと温めていく。熱を帯びていく呼吸に、自分の鼓動も速くなる。
これ以上、言葉は要らなかった。ただ欲するままに。それでも、応えたいと思った。