• テキストサイズ

(R18) 爆豪勝己と轟焦凍とXXXのある生活

第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍


それから程なくして、外が急に騒がしくなった。なんだろう……と私も轟君も窓へ視線を移す。

次の瞬間、オーナーが慌てた様子で戻ってきた。続いて、初老の男性も一緒に入ってくる。

「凪ちゃん!まだ、ショートいる!?」
「え、いますけど……」

そう答えきる前に、轟君はすっと立ち上がり、前に出た。

「どうかしましたか?」

慌てる二人を落ち着かせるように、その声は冷静だった。

「私じゃないんだけどね、向かいのお茶屋さんのおばあちゃん、詐欺に遭ったかもしれないって」
「詐欺?」
「うちのばーさんのことなんだけどよ。さっき変な電話がかかってきたと思ったら、東北にいる孫が事故に遭って金がいるって。……俺ァ絶対詐欺だって言ってんのに、ばーさん、ありったけの金持って出ていきやがった。孫は沖縄だっつってんのに、あの声は孫だって聞かねぇんだ」
「心配ですね。おばあさんはどこに向かいましたか?」
「市民公園だっつってた」
「特徴は?」
「紫のスカーフを首に巻いてる」
「分かりました」

間を置かずに、轟君は答える。

「今から俺が向かいます」
「ああ、頼むよ、にいちゃん」
「はい」

短く返事をして、迷いなく背を向けた。

私が見たのはヒーローとしての背中。さっきまで、カウンター越しに向き合っていた人と同じとは思えないくらいに凛々しくて逞しい。

「気をつけて…」

思わずこぼれた声。その瞬間、一度だけ振り向いて、視線がまっすぐに重なる。

そして、ほんのわずかに唇が動く。

「また、後でな」

そう言って、轟君は氷の壁に乗って真っ直ぐに市民公園へと向かった。行き交う人が皆、空を見上げている。青い空と白い雲の中、風に舞った氷の粉がキラキラと光っていた。

その中にもう轟君の姿は見えない。それでも、しばらくの間、私は空から目を離せなかった。

/ 325ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp