第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「かっちゃん!」
その声は上から降ってきた。見上げるよりも先に、緑色のヒーロースーツが視界に入る。
「大丈夫?」
救助に来たヒーローの台詞をこの俺に向け、ドヤ顔で言い放つ。
「あ″ァ?」
この空気の読めない登場に、苛立ちが沸点を超える。
「あ、なんか怒ってる…?上鳴君たちとなんかあった?」
「怒ってる、だァ?テメェも人の個人情報べらべら喋りやがって」
「違っ……!あれは、その……僕が上手く誤魔化せなくて、それで……っ。ごめん」
しばらく睨みつけたまま、何も言わなかった。胸につっかえている言葉を、無理やり押し込む。
「……もう、いい」
「え…?」
「あいつらから、色々聞いた。俺が、凪に対してどんだけ酷いことをしてたンかって…」
「何があったの?」
「凪が辛い時、そばにいてやれなかっただけじゃねぇ。俺は任務だなんだっつって現実を見ねぇようにして、逃げ場にしてきた。けど…っ」
言葉に詰まる。喉の奥が締め付けられるような痛みだ。
「凪には何もなかった。全部、自分で受け止めようとした。俺はそばにいたときですら、救ってやれなかった…」
「だから、諦めるの?」
出久の言葉が刺さる。あの日から何度も自問自答してきたことだ。
「だったら聞くわ。出久、テメェならどうすんだよ。自分が傷つけるだけ傷つけて、終わりだっつっといて、……今更、何ができンだ?」
「そんなの、かっちゃんらしくない。……まだ、好きなんでしょ?」
「だとしても、あいつは俺といても幸せになれねぇ…。轟がいいなら、それでいいって思ってる」
出久が何か言いかけて、口をつぐむ。
「でも僕は…ッ、まだかっちゃんへの気持ちもあると思うんだ」
「テメェはまだそんな花畑みたいな思考しとンのか」
「凪さんの性格から考えてもさ、かっちゃんのことが嫌いになって別れを選んだわけじゃないと思う。むしろ、好きだから大切だから自分から身を引いたようにも見えるんだ」
「分かったような口聞きやがって」
「あ、これはね、僕だけの意見じゃないから…」
「あ″ァ!?」
「いや、別にかっちゃんのことって言って相談したわけじゃなくて。あくまで匿名でさ」
「匿名でも勝手に相談してんじゃねぇよ」
「ごめん!!でも、あんな辛そうなかっちゃん見てたら、じっとしていられなくて、それで…」
