第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「別れたのってそれが原因だったりする?」
「……違ぇ」
「そうだよな。お前はそんな漢じゃねぇ」
「やっぱすれ違い?…相談してくれりゃ俺たちだって力になったのに」
「いらねぇわ。すれ違いくらいで終わる関係なら、元々持たねぇだろうが」
「じゃあ諦めんのか?」
一瞬、凪の顔が浮かぶ。その直後、重なるように轟の姿がよぎった。
心の奥底では諦めきれなかった。
ただ、今はもう、手が届かない。
「あいつは何一つ悪くねぇ。俺はその噂すら知らなかった」
凪のことを分かったつもりでいて、何も分かっていなかった。
辛いことも、不安なことも、全部背負わせたままで…。それでも、あいつは笑っていた。
俺は凪を置き去りにしたまま、ただ突っ走っていた。
「けど、爆豪…。今更かもしんねぇけど、俺らにできることがあるならなんでも言ってくれ。俺たちだって力になりてぇ」
「俺も…。今回の作戦だって爆豪が要だろ?お前がそんなんじゃ俺たちだって心配で」
「それとこれとは別だ。もう終わったことに、今更何もねぇ…」
「爆豪…」
「お前らも自分の任務のことだけ考えとけ。俺の足、引っ張んじゃねぇぞ…。じゃあな」
そう言い放って背を向けた。背後から切島と上鳴の声が聞こえる。けど、振り返らない。
「おい、爆豪!」
「待てって」
「俺はお前らと違って暇じゃねぇんだわ」
胸に鈍い痛みを残したまま、事務所に向かって歩く。ポケットに入れた手を握り締める。
凪は俺以上に苦しかったよな。
痛かったよな。
そんなあいつを俺は…。