第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「よくないよ。かけ直さなきゃ…」
「個人的な連絡だから。後で折り返せばいい」
「そうなの?……というかなんで轟君も寝てたの?」
轟君はしばらく一点を見つめた後、まだ少し眠そうな顔のまま、まっすぐ私を見ていた。
「……5分だけそばにいようと思って。気づいたら俺も寝てたみたいだな。……15時か」
スマホの画面をチラリと見てから呟く。15時なんてまだ仕事中だろうし、今日は非番でもないはずだ。
「仕事は?家にいて大丈夫なの?」
「途中で抜けてきた」
「どうして?何かあった?…眠っちゃうくらい疲れてた?」
矢継ぎ早に質問する私に、轟君はふっと笑う。
「いや、そうじゃねぇ。……なんとなく、凪に会いたくなった」
「え……?」
「昼寝っていいな。久しぶりだ…」
そう言って轟君は小さく息を吐いた。穏やかな表情のまま、畳の上に視線を落とす。
〝会いたくなった〟さっきの言葉が、そのままの温度で、頭の中をぐるぐると回っている。
「……それで仕事抜けてきたの?」
「ちゃんと戻る」
「そういう問題じゃなくて…」
思わず言い返すと、轟君はまた小さく笑った。さっきまで寝ていたせいか、いつもより表情が柔らかい。ヒーロースーツのまま畳に寝転んでいる姿も無防備で、格好いいのに、どこか可愛くも見える…。
「凪…」
名前を呼ばれて顔を上げる。
気づけば、さっきよりも距離が近い。寝転んだ轟君と、ちょうど目が合った。
「好きだ」
私の中だけ、時間が止まったみたいだった。どこかまだ夢を見ているようで、午後の光が赤と白の髪を淡く照らしていた。
「じゃあ、俺は事務所に戻るな」
私の頭を二回撫でるように触れる。それだけして、この余韻を味わうわけでもなく、轟君は立ち上がろうとした。