第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
* 凪side
午後のやわらかな光が、閉じている瞼に優しく当たる。どこからか、小さな振動音が聞こえた気がした。
うっすらと意識が浮かぶ。柔らかなシーツからはお日様の匂いがして、まだ夢の中のような感覚のままだった。また寝落ちてしまいそうなふんわりとした意識の中、スマホのバイブが震える。
「ん……」
小さく息を漏らして、ゆっくりと目を開けた。ぼんやりとした視界の中で、天井の木目と、差し込む光が眩しい。私しかいないはずなのに、ふと、すぐ近くに人の気配を感じた。視線を横に向けた瞬間、思わず体がびくっと跳ねる。
「えっ……!?」
すぐ隣で轟君が眠っていた。ヒーロースーツのまま、数十センチの距離で、静かな寝息を立てている。赤と白の髪が午後の光に照らされている。一瞬、状況が理解できなかった。
どうしてここで寝てるの?
というか……いつから?
慌てて体を起こそうとしたけど、シーツに包まれていたことを思い出す。もぞもぞと身を起こしながら、もう一度そっと隣を見た。
規則正しい寝息。少しだけ長い睫毛。こんな近くで見るのは初めてだった。最近、任務や事件続きで忙しくしていたし、寝入っているのだろうか。でもそんなことも言っていられない。轟君の鳴りっぱなしスマホ画面には〝エンデヴァー〟と表示されていた。
「……えっ」
思わず小さく声が漏れる。ヒーロー事務所からの電話だ。しかも相手がエンデヴァー。重要じゃないはずがない。けど、当の本人は私の隣で静かな寝息を立てている。
どうしよう。さっきまで穏やかだったのに、急にそわそわと落ち着かなくなった。
「……轟君」
小さく呼んでみるけど、反応はない。もう一度、少しだけ声を近づける。
「轟君、電話……」
その声に反応したのか、隣の轟君がわずかに眉を動かす。だけど、そのタイミングで着信はぷつりと途切れた。
「……凪?」
「起きた?さっきから轟君のスマホが鳴ってて…。エンデヴァーって、事務所からだよね?」
「ああ。………けど、いい」
まだ寝ぼけているのか、声は少しかすれている。