第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「それはね、恋だよ」
「恋ね、轟ちゃん…」
「恋ですわ」
「……恋、なのか?」
「完全に恋やで」
「そうよ、轟ちゃん」
「間違いありませんわ。轟さんのハートを射止めた女性が羨ましいですわね」
八百万の言葉に、凪の顔が浮かぶ。爆豪と別れた後の凪の辛そうな表情も浮かぶけど、それ以上に笑顔を取り戻した姿ばかりが頭に浮かぶ。
俺の名前を呼ぶ声。花に水をやる横顔。無防備な寝顔も…。
「確かに…。俺はあいつのことが、好きなんだろうな」
日常の中で凪がいることは、俺にとって特別だ。
「想いを、伝えんでええの?」
「でも、あいつは恋人と別れたばかりだ。負担になるだけだろ?」
「……優しいのね、轟ちゃん」
「それでもお伝えすべきですわ。こんなに愛情のこもったお弁当を作ってくれる方ですもの、きっと受け入れてくれるはずです」
「うん!私もそう思う」
「轟ちゃんからの言葉を待ってるかもしれないわ」
爆豪のことを思えば、俺が強引に踏み込むことはできない。 けど、凪は爆豪のことを乗り越えようとしている。この先、誰を選ぼうとも、俺は支えたいという気持ちに嘘はない。
「…そうだな。伝えてもいいよな」
「ええ…。轟さんの心の思うままに…」
「きっとうまくいくわ」
「応援しとるよ!」
「ああ…。みんな、ありがとう…」
その言葉に胸の奥がじんわりと熱くなった。今まで気づかなかった感情が溢れて、理屈ではなく、体の奥から自然に湧き上がってくる。
ただ、無性に、凪に会いたくなった。