第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「……一人で立つことと、誰かのそばにいることは、別だろ。凪がここにいるのは、甘えじゃねぇ」
轟君の言葉とまっすぐな視線から逃げられなくなる。
「俺は……、凪がここにいるのが、いい」
優しいのに、子供のわがままみたいで、それが嬉しくもあって…。胸の奥がじわっと熱くなる。
「……ずるいよ。そんなこと言われたら、揺らいじゃうよ」
思わず小さく笑ってしまった。轟君は少しだけ困ったように眉を下げる。
「揺らいでいい…」
「ありがとう…。でもね、少しずつ家の整理もしたいし、自分の生活も考えていこうとは思ってるの。それは本心でもあるの」
「それは分かってる…」
「自分には何ができるんだろうとか、何が好きなんだろうとか、そういうのを一度見つめ直したいの」
言葉にするのは少し怖かった。それでも、逃げたくなかった。
「轟君の優しさに甘えるんじゃなくて、ちゃんと立てるようになりたい。だから…、それが見つかるまで、ここにいていい?」
「……ゆっくりでいい。見つかるまで俺はそばにいる」
その言葉が、想像以上に柔らかかった。
選ぶことも、迷うことも、誰かのそばにいることも、全部、間違いじゃないのかもしれない。
「ありがとう…」
「それに俺は、凪の飯が食いたいしな…」
「食べるの好きだね」
「違う。凪の飯が好きなんだ」
「じゃあ、食べよ?唐揚げが冷えちゃう」
「ああ…。そうだな」
私たちを見守るようにブルースターの淡い青が静かに揺れていた。