第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
食卓に並ぶのは、唐揚げと味噌汁、炊きたてのごはん、簡単な副菜とデザートのりんご。特別なものは何もない。ブルースターの小さな花がそっと見守る。
「いただきます」
向かい合って同じタイミングで手を合わせる。カラッと揚がった唐揚げを一口食べて、轟君の動きがぴたりと止まる。
「……うまい」
派手な反応じゃない。でも目元がやわらいで口元もほどけていく。嘘がつけない性格だから、美味しいと思ってくれてる時の表情は素直に嬉しい。〝うまい〟ってその一言が聞きたくて、私は作っているのかもしれない。
「ほんと?」
「ああ。味が染みてる」
「だって朝から仕込んでたもん」
「すげぇな。いくらでも食えそうだ」
もう一つ箸でつまみながら、満足そうに食べている。その様子を見ているだけで、胸の奥がじんわり温かくなる。
テレビもつけていない静かな食卓。それが今は当たり前になっていることに、ふと気づく。
「明日も早いの?」
「ああ。でも夕方には戻れると思う」
「そっか」
それだけのやり取りなのに、不思議と安心する。ふと視線を感じて顔を上げると、轟君がこちらを見ている。
「それと…」
「ん?」
「明日から任務に本格復帰する」
時間が少しだけ静まった気がした。轟君の真剣な表情に、
「……そっか」
自分でも驚くくらい、声は落ち着いていた。私の回復に合わせて任務を増やしているのも知っていたし、初めから分かっていたこと。それでも、胸の奥がきゅっと苦しくなる。
「最近、忙しくしてたもんね。前に言ってた厄介な任務も落ち着いてないんでしょ?」
「ああ…。詳しくは言えねぇけど、忙しくなる…」
この生活が心地よくてつい甘えてしまっていた自分がいたから。轟君の方からの申し出は正直、ありがたかった。