第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
ふいに意識が浮かび上がる。瞼が重くて、随分と長い時間、眠っていたような気がするけど、窓の外はまだ暗闇のままだった。手元のスマホ画面には【3:02】と表示されている。時間の感覚だけがうまく噛み合わない、そんな感じだ。
体はまだ気だるさがあるのに、頭だけが冴えていく。もう一度眠ろうと寝返りを打つけどどこか落ち着かない。慣れない環境のせいか、それとも思っていたより、まだ心は回復していないのか。時間が経つにつれて意識は覚醒していく。
見上げている窓の外には月の明るさがまだ残っていた。淡い明るさに誘われるようにそっとバルコニーへ出る。高層階だからか、辺りは静かで、街の灯りはまだあちこちに灯っていた。夜の風は少し涼しくてすっと体を通り抜ける。
「…眠れねぇのか?」
ふと後ろから声がして、振り返ると轟君が立っていた。
「あれ?なんで私が起きてたのが分かったの?」
「窓の開く気配がした」
「ごめん。起こしちゃったね」
「起こしてくれていい。…眠れねえのか?」
「ううん、今まで眠ってたの。でも、目が冴えちゃって…。月が綺麗だったから眺めてたの」
「月、そんなに珍しいか?」
「ほら、うちのアパートって一階でしょ?だからこんなに高い場所で月なんて見たことないもん」
今日は雲もない綺麗な満月だからか、真夜中なのにこんなにも明るい。淡い光が轟君の顔を優しく照らす。