第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
自分でも答えは分からない。
ただ、もし空が泣いてくれていたら。
勝己のことをこんなにも感じずに、少しだけ、自分も素直になれたのかな、そんなことを思っただけ。
「俺は……」
二人で同じ空を見上げたまま、轟君がゆっくりと口を開く。
「凍らせることはできる。けど、雨を降らせることは無理だ…」
「……へ?」
〝悪い〟と小さく続けて、轟君は視線を落とした。自分の両手をじっと見つめる横顔が、どこか本気で申し訳なさそうだった。
「もしかして、個性の話してる?」
「…違うのか?」
「私、そういう意味で言ったんじゃないよ」
「そうなのか?」
本気で分かっていなかったって表情に、自然と笑みが溢れて、肩の力が抜けた。真っ直ぐで素直で少し不器用で、さっきまで胸を締めつけていた重さが、ふっと緩む。笑うこと自体が久しぶりだって頬に残る感覚が教えてくれた。
「轟君って、面白いね」
「そうか?」
「でも、少し元気が出た気がする」
笑うのなんて、いつぶりだろう。胸の奥がじんわりと温かくなって、ああ、ちゃんと笑えてるんだって、自分で分かる。
「じゃあ行くか」
「うん」
青い空は相変わらず眩しいけれど、体はいつもよりずっと軽かった。
腕の中の霞草は夏の風に揺れる。歩幅を合わせてくれる轟君の隣にそっと寄り添った。