第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「ごめん…。でも、僕もかっちゃんに聞きたいことがあったんだ」
「…ンだよ」
「凪さんは大丈夫なの?」
「何がだよ…」
「この前、雄英に来てた」
「……雄英に?」
「うん。なんとなく元気がないように見えたから声をかけたんだ。そしたら個性が上手く使えなくなったって、今からリカバリーガールに相談に行くって言ってたけど、その後どうなったのかなって」
「……は?」
個性が使えなくなった…?出久は誰の話をしてる…?自分だけが取り残されているような冷たい感覚と疑問符だけが浮かぶ。
「その様子じゃ、知らなかったんだね」
「おい、待て。そんな話、凪から聞いてねぇ」
「かっちゃんは地方に行くことが多かったでしょ?最近、救命チームでも凪さんの姿を見かけないから気になってて…。3ヶ月くらい前に現場で見たのが僕は最後だ」
「3ヶ月…、あいつなんも言ってねぇ…。おい、凪が雄英に行ったのっていつの話だ?」
「あの後職員会議だったから…。確か、6月3日だったような…」
それは俺が凪の家に行った日だった。確かにあの夜、あいつは何か俺に話そうとしてた…。それがずっと心のどこかでつっかえていた。だから、あの朝、俺は…、凪の家に行った。
轟があの場所にいた理由。ひとつひとつが怖いくらいに繋がっていく。
「ンで、気付かなかったんだよ、俺は…」
「え?」
だけど、それは自分の過ちに初めて気付いた瞬間だった。
「悪い、話は後だ」
手元のスマホを握りしめる。焦りで心臓が跳ね、指先が汗で滑る。画面に表示された凪の名前にどうしようもない後悔が押し寄せる。
凪が一人で抱え込んでいたのに、なんで俺は気付いてやれなかった。
「……俺は…、なんで…」
〝間に合ってくれ…〟聞こえてくるコール音に縋るしかできない。こんなにもあのどこか頼りない声が聞きたいと思ったことはなかった。
「…爆豪か?」
スマホ越しに聞こえてきたのは予想もしなかった、轟の声だった。体に一気に緊張が走る。胸がざわついて、抱えてきた不安や焦りが轟の声によって一気に形を帯びる。