第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
* 爆豪side
地方の任務がひと段落し、俺は報告を終えた。帰る場所は一つなのに、そこに凪がいない現実が今になって後悔として押し寄せる。
俺からの一方的な別れ、そしてそれを受け入れた凪。
俺はどうすればいい…?その問いが頭から離れない。
行く当てもないまま、俺は雄英に立ち寄っていた。出久からの返信を確認した後、自販機の前のベンチで重い体を預ける。生徒のいない校舎は静かだった。日かげにいても午後の夏の日差しが容赦なくアスファルトを照りつけていた。
「かっちゃん、お疲れ様。はい、コーヒー」
「……ン」
冷たい缶コーヒーを持った出久が視界を塞ぐ。何も知らない暇人教師は相変わらず呑気な顔を晒している。
「長期任務、大変だったね。でもさすがかっちゃん。予定よりもずっと早かったし、僕の出る幕はなかったね」
「……当たり前だ。学生はインターン中だろ?暇人教師はインターンのフォローに専念しとけ」
「ありがと。ねぇ、久しぶりに会ってこういうこと言うのも失礼だけど、表情が硬くない?疲れてる?」
「っせぇな…」
「何かあった?よかったら聞くよ」
「ねぇわ…」
「じゃあ僕からかっちゃんに一言いい?」
「あ″ぁ?」
「かっちゃんが担ってた任務って、僕も絡んでるとはいえさ…、轟君への連絡手段として僕を間に挟むのってどうなの?」
余計な詮索しやがってと小さく舌打ちを返す。任務に私情を挟むことはリスクしかない。それは俺も出久も分かっている。
「テメェは暇だろうが」
「轟君となんかあったの?」
「………ねぇ」
「嘘だ。轟君だって君と連絡が取れないって困ってた。なんかあったよね?」
「今、あいつの名前を出すな」
「どうしたの?なんで?かっちゃん変だよ」
「なんでもねぇっつってんだろ!」
無意識に声を荒げていた。出久は目を見開き、すぐに視線を落とした。一瞬、蝉の鳴き声だけが、静まり返った校舎の空白を埋める。暑さと苛立ちに汗が流れていく。