第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
「飯は食えてるのか?」
「うん。なんとかね、食べてるよ」
「水分は?」
「ちゃんと摂ってる。迷惑かけちゃったし、ちょうど今ね、轟君からもらってたジュースを飲んでたの。炭酸が久しぶりで美味しいって思ってたとこ」
「それならいい。言ってくれればいつでも買ってくる」
「ありがとう」
私の言葉に轟君は軽く笑って、ゆっくりと部屋に入ってきた。あの時の空気はまだ残っているけど、薄いカーテンから差し込む光が部屋を照らしてくれるのが救いだ。
「正直、あれからずっと心配していた」
「……あんなところ見せちゃったんだもん、当然だよ。でもね、私も切り替えようと思って、ずっと寝てるのも駄目だし少し動かなきゃと思って、思い出のものとか整理してたの」
「俺が余計なことをしたせいで」
「轟君は謝らないで。遅かれ早かれこうなったの。私の方が轟君を巻き込んでしまっただけ」
「爆豪からの連絡は?」
「ううん、ない」
「俺から何度も爆豪には連絡した。…けど、任務以外は連絡するなと緑谷経由で聞かされて、何もできないままだった」
「いいんだよ、もう…。終わったことだから」
きっと轟君は責任を感じてくれている。でも、轟君は何ひとつ悪くない。轟君の優しさを受け取れなかったのは私。勝己との関係を終わらせたのも私だから。
「よかったら何か飲む?アイスティとかでいいならすぐ出せるけど」
「ああ、ありがとう」
キッチンに立って部屋を見渡してから深く息を吸って吐いた。平然を装いながらも胸の奥のもやもやがどうしても拭えない。むしろ自分を偽っている感覚が黒く広がっていく。静かに香る紅茶の香りですら受け付けない。
「思っていたよりも元気そうで安心した」
優しい声にハッとして視線を上げる。カウンター越しに見える轟君の横顔は、口元が柔らかくほころんでいた。