第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
* 勝己side
瓦礫の山からまだ煙が上がっていた。焦げた匂いと、燃えカスの粉塵がまとわりつくのを手で振り払いながら、PTTの送信ボタンを押す。
「現場制圧完了。敵構成員、全員確保」
雑音の中、〝了解〟とだけ聞こえてくる。深く吐く息には疲労も滲む。今回の地方の任務は特に厄介だった。アジトが複数に散らばっている上に、情報源として身柄を確保しろとのお達し。そういう〝丁寧な〟任務は俺には性に合わない。
現場に背を向け、仮設ベースへと戻る。市街地から郊外へ向かう中、ざわめきが遠のき、虫の声に変わっていく。横目で見る半分に欠けた月がやけに目につく。
あの夜もこんな月で、記憶の中の凪は何かを俺に言いかけていた。声が、ほんの少しだけ震えていた気がする。
仮設ベースのプレハブの扉を開けると、中央モニターには作戦区域の地図が映っている。通信士がヘッドセット越しに小声でやり取りを続け、医療班が簡易ベッドを片付けていた。
「大・爆・殺・神ダイナマイト!お疲れ様です!」
突然、後方で聞こえた耳障りな声に振り向けば、タブレットを抱えた補佐役が息を乱して立っていた。
「うるせぇ…」
「す、すみません!あの、お怪我はありませんでしたか?」
「あんな雑魚相手に怪我するわけねぇだろ…。んで、次は?どこ行きゃいい?」
「はい!次は待機です!」
「あ″?待機だァ…?」
「情報によりますと、敵側の次の動きは恐らく明後日になります」
「…明後日?」