第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
凪をベッドで寝かせた後、ブランケットを引き寄せる。カーテンの隙間からは朝の光が差し込み始めている。俺はそっと隣に腰かけ、ベッドサイドの時計に視線を移す。
「5時半か…」
「結局、朝まで付き合わせちゃったね。今日も仕事でしょ?大丈夫なの?」
「このくらいは問題ない。要請以外は休めるから」
「そっか。私が言えた義理じゃないけど無理しないでね。それとチャームもそうだけど、本当にありがとう。服もまた洗って返すから」
「ああ。別にそのままでもいいから」
「ううん。ちゃんと洗って返すよ。まさか吐いちゃうと思わなかったし、恥ずかしいところまで見せちゃったごめん…」
「麗日も昔はよく吐いてたし、別に気にならねぇ」
「ウラビティが?」
「麗日は個性を使いすぎると吐く体質だったからな」
「そうなんだ。ヒーローもなかなか過酷だね」
「個性は訓練次第だからな。俺だってそうだった……。だから原因はわからないにしても、凪もまた個性が戻る可能性だってある」
凪は一瞬目を見開き、俺の顔をじっと見つめる。そんなことを考えてもいなかった、そんな戸惑いすらある。
「そうかな…」
「ああ。少なくとも俺はそう思ってる」
「そっか…。そうだといいな」
凪の目の奥に隠れた本心が力のない言葉に滲んでいる。凪が抱えている不安の重さに、俺は次の言葉を必死で探す。
「でもね…。今の私を、勝己が見たらどう思うかな?」
「何も変わらないだろう?」
「私にはね、そう思えないんだ」
「そんなことねぇだろ」
「だって、この個性がなければ勝己に気付いてもらうことすらできなかったから。あの場所で救命チームの一員としていられたから、この個性があったから、私は勝己と対等でいられたんだよ?」