第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍
夜の街のネオン、轟君の腕の温もり。そして、薄れていく意識の中で何度も名前を呼ばれたことだけは残っている。ただ、〝勝己〟と口にしたら消えてしまいそうで、私はそれが怖かった。
次に覚えているのは、見覚えのない天井と規則的なモニターの音だった。点滴バックから伸びたカテーテルは私の腕へと繋がっている。
「目が覚めましたか?」
私を覗き込む知らない女性の優しそうな声。何が起こっているのかが分からないまま周りを見渡す。消毒液の匂いもして、簡易ベッドが並んでいて、病院の処置室のような場所だった。
「…あの、ここは?」
「病院です。脱水が酷かったので、今、点滴をしています」
看護師であろうその女性は点滴バックの残量をチェックしてから、滴下速度を調節している。 脱水、その言葉に記憶が徐々に戻ってきて、轟君に迷惑をかけてしまったことに胸が締めつけられた。
「お連れ様にも声をかけますね」
「…え?」
「ヒーローのショートがあなたを運んでくれたんですよ?…体温も高くて、ここに着くまでの間、ずっと冷やしてくれてたんです。今、呼んできますね」
そう言って看護師さんはカーテンを少し開けてその奥に向かって声をかけた。そういえば意識が朦朧としている間、首元が冷たかったような気がする。轟君のことだから、ずっと冷やしてくれていたんだろう。轟君からすればヒーローとして当たり前の優しさだ。
「…っ」
喉の奥がきゅっと苦しくなる。でも逃げ場のないこの場所ではどうすることもできない。足音が近づき〝開けますね〟と看護師さんの声が聞こえ、カーテンが揺れた。