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(R18) 爆豪勝己と轟焦凍とXXXのある生活

第4章 HOME 爆豪勝己 / 轟焦凍


どのくらい経っただろうか。涙が乾いた後の頬はかすかに痛む。シーツに沈み込んだ体は重くて、街灯の明かりがカーテン越しにぼんやりと浮かんでいた。

気持ち悪さを覚えながらゆっくりと起き上がると、テーブルには轟君からもらったジュースが目に入る。もうすっかりぬるくなっているだろう。

「……あれ?」

違和感に思わず声が漏れる。鞄のファスナーにつけてあった、キーホルダーが見当たらない。ふらつきながらなんとか立ち上がり、すがるように鞄を引き寄せた。ファスナーの周りを指で確かめても何も触れない。

「ない…。どうして…」

そんなはずない。帰る前には確かにつけていた。色褪せた薄桃色の霞草のチャーム。鞄の中、ベッドの上、床、テーブルの下、目に見える場所を見渡しても見当たらない。心臓の音が耳の奥で大きくなって、呼吸が浅くなっていく。喉が詰まるみたいに、うまく息が吸えない。

「……落とした?」

呟いた声は、思っていたより震えていた。思い出そうとするほど、記憶が曖昧になっていく。

「見つけなきゃ…」

チャームは自分で作ったものだった。付き合って一年の時、勝己からもらった桃色の霞草。

枯れてしまう前に残しておきたくて、勝己からもらった愛情と一緒にレジンの中に閉じ込めた。今の私にとってはそれでも今、勝己を感じられる唯一のものだった。

焦りと不安と気持ち悪さが込み上げてくる。それでも考えるより先に体が動いていた。鞄を掴むと、鍵を持ったかどうかも確かめないまま、玄関へ向かう。

ドアを開けた瞬間、熱の残る夜の空気が一気に流れ込んでくる。湿った風が肌にまとわりついて、呼吸が苦しい。それでも足は止まらなかった。

もし、誰かに拾われていたら。
もし、どこかで踏み潰されていたら。

最悪の想像が、次々に浮かんでは消えていく。指先が冷えて、息が乱れて、それでも足だけは記憶を頼りに前へ進んでいた。

「…凪か?」

不意に名前を呼ばれて、肩が跳ねる。その低くて落ち着いた声は、つい数時間前にも聞いてきたものだった。振り向くと、街灯の下に轟君が立っていた。私服姿のまま、少し息を切らしている。

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