第7章 デート
昨夜ヴィクトルは、ずっとあなたのそばにいると約束してくれた。たとえベッドの上のことだとしても、その言葉はあなたをまばゆく照らす輝きになっていた。
「名無しちゃん。愛してるよ」
「⋯⋯私もだよ。へへ⋯⋯」
次の日になっても、彼の熱い想いを浴び続ける。
腕の中にしまわれて、せきを切ったかのように伝えられ、愛おしそうに見つめられるのだ。
「あぁ、ごめんよ。あんまり言い過ぎると重みがなくなってしまうかな。でも止まらなくてね」
「大丈夫だよ。何度言われても嬉しいもん」
あなたは彼の胸にくっつき、すべてを受け止める。
ずっとこうしていたかったが、頭の片隅にはもうひとつの大事なこともあった。
「でもヴィクトル。今日はデートだよね? もうそろそろ行かないと⋯」
「そうだよね。よし準備しよう。あぁ待って、あと一回だけ――」
彼はそう言って顔を傾け、あなたの唇に自分の口をしっとり重ねる。
それだけで別の世界に飛んでしまうほど、確かな温もりに包まれた。
少しと言わずしばらく口づけを交わしていたが、ようやく体を離すと、二人は幸せな気分で出かける準備を始めた。
ゆったり彼の自宅を出て、一時間ほど車を走らせた所にある旧市街へやって来た。
ここは陶器が有名な歴史ある街で、国の観光地として世界中から人が集まってくる。
船が運航する大きな河川もあり、その流れに沿ってマーケットも立ち並び、あなたはヴィクトルと楽しく散策しながら歩いていた。
「わあ、可愛いお皿がいっぱいだよ。こういうの好きなんだ〜見てるだけでも楽しいね」
「本当だなぁ。あ、これなんかどう? 二人のおそろいがほしいな」
「えっ!? 本当っ?」
まさか男性の彼からそんな洒落たことを言われるとは思わず、あなたは喜びが湧く。
二人で伝統的で鮮やかな模様のついた陶器を購入しようと決め、小皿やマグカップを選んだ。
「すごく嬉しい! これ家で使えるね。ヴィクトルの家に置く?」
「いいの? じゃあそうしようか。いまのところはね」
彼にウインクされてあなたは深読みし赤くなる。
それはいつか、二人でまた一緒に住むことになる可能性があるということだろうか。
考えただけで幸福感が押し寄せてきた。