第7章 デート
暗がりだけど外で不意に唇を奪われて、あなたは肩がびくりと跳ねる。
急に静かになったところを、まだヴィクトルは足りないらしく大きな体で包みこんできた。
「んあぁ⋯⋯ヴィクトル⋯⋯力強い⋯」
「あぁごめん。もうなんて言ったらいいんだろうな。君が愛おしいよ」
そう言って顔を見合わせ、頬に唇を触れさせたあと耳元でまた愛を囁いてくれた。
それから切なげに眉を寄せている。急に後悔してるようにも見える顔だ。
「参った。俺は今日何も持ってきてない」
「えぇ! いいんだってば、私があげたかったんだから。⋯⋯お返しとか考えないでね、気持ちだから!」
「⋯⋯だめ? 分かった分かった、じゃあ我慢しよう。ひとまず」
彼はくすくすと笑い了承してくれたのだが。
几帳面なのか両手を握ったまま、こちらを見つめてくる。
「でも君にもっと色々してあげたいよ。何がいい? 名無しちゃん」
「もう。十分だよ。⋯⋯だって私、一番すごいのもらってるもん」
「え? 何?」
彼は興味が駆られたように、こちらに身を乗り出してきた。
「ヴィクトルだよ。へへ」
冗談ぽく言ってはみたものの、かなり勇気を出した台詞だ。
すると彼の瞳は揺れ動き、あなたの唇に吸い寄せられるように重ねられた。
「んっ⋯⋯そうじゃない?」
「ううん、その通りだよ。俺は完全に君のものだからね。そのこと忘れないでね」
そう言って何度か熱い口づけを受けて、あなたはじんじんととろけていく。
ちょっとずるかっただろうか。
くすぶっていた彼への強い気持ちを、また広い愛情で包みこんでもらった。
しかし、もしかしたらヴィクトルはあなたが思う以上に深い感情の渦の中にいたのかもしれない。
彼は伝えきれてない想いをすべて伝えてしまいたい気持ちと、まだブレーキをかけなきゃいけないという理性の間で揺れ動いていた。
それをあなたはまだ、はっきりとは知らなかったのだ。