第5章 親友編
「ごめんねヴィクトル。どんどん遅い時間になっちゃって⋯」
「大丈夫大丈夫。俺結構体力あるからね、何時でも気にしないよ。とにかくいい機会だから見届けよう。一緒にね、名無しちゃん」
そう言って玄関にもついて来てくれた。
二十分後ぐらいだろうか、ベルが突然鳴り出し、インターホン越しに見知らぬ男性に挨拶されて、あなたはロビーのドアを開けた。
彼がここまでやって来るのにそう時間はかからなかった。
「⋯⋯ど、どうも〜。こんばんは」
「あっ⋯⋯こんばんは。夜遅くにすみません。僕はセリアさんに呼ばれた、エリック・キールと申します」
「あぁ! そうでしたか。私は彼女の友達の名無しです。はじめまして、急にお呼びしてすみません」
あなたも丁寧に返し、彼の全身を目に映す。
セリアの言ったように、見た目は背の高い真面目そうな黒髪の青年だった。メガネをかけていて静かそうだが、目力はちゃんとしていて口調も落ち着いている。
「こちらは私の――」
後ろにいたヴィクトルを紹介すると、彼は手を差し出した。
「ヴィクトル・ヘイズです。彼女と交際している者です、よろしく」
「よろしくお願いします。夜分遅くにお騒がせしてすみません」
ぎゅっと力強い握手を交わした男性二人だが、自然で穏やかな雰囲気だ。
「あの、どうぞ中に入ってください。セリアちゃんが待ってますんで」
「あ、はい⋯⋯!」
そう促すと彼は緊張した面持ちになった。半年間の交流があったとはいえ、初対面なのだから無理もない。
エリックを案内すると、リビングでは親友がすでに立ち上がり、珍しく指先を絡めてそわそわした様子だった。
「セリアちゃん!」
「あっ⋯⋯エリック。ハロー、ごめんね急に呼び出しちゃって」
いつもの明るい雰囲気で片手を上げているが、あなたにも彼女の顔つきから緊張が伝わり心臓がうるさくなる。
彼らは近づくと若干ぎこちなかったが、互いに腕を広げてハグを交わした。
最初は友達みたいな軽いものに見えたけれど、エリックは安堵したのか、彼女をぎゅっと抱きしめる。
「え、エリック?」
「ごめん、びっくりして。何かあったのかと⋯⋯よかった。無事で」
「ええ! ごめん大丈夫だよ、結構飲んじゃったけど。⋯⋯こういう勢いがなかったらずっと会えないんじゃないかなって思ってつい⋯」