第1章 出会い編
暗がりの中、あなたは彼と同じベッドにいた。
ホテルのガウンだけを羽織り、ヴィクトルの温かい胸元に手を置いている。
「ねえ。もう終わり?」
「⋯⋯参ったな。君は心を許すと、そんなふうに甘えてくるんだね」
彼は体をこちらに向けて、柔らかい眼差しで見つめてくる。
腕枕をされ、あなたはドキドキしながら身を寄せた。
「そんな物欲しそうな目で見られたら困るな。俺の忍耐が台無しになってしまうよ」
ヴィクトルは甘く瞳を細め、頬を指先で撫でてくる。
あなたはもう彼の虜だ。
しかし視線をくぎづけにする形よい口元は、こんなことを告げた。
「続きは明日にしようか。明日の夜になっても名無しちゃんがまだ俺としたいって思うなら、してあげるよ。だからまたここにおいで」
理路整然とした、気遣いのある提案にあなたはぽうっとする。
頷いてはみたものの、彼に触れたいと思う気持ちはまだ疼いていた。
「じゃあ、手でする? ヴィクトルはまだイッてないよね」
大人の男性に対してはあまりに子供っぽい提案だが、彼はくくっと面白そうに笑った。
「それはそそるなぁ。でも我慢できなくなりそうだからやめとこう。もう寝なさい、名無しちゃん。おやすみ」
急に先生のようにおしまいにされてドキドキする。
あなたは彼と離れがたくて、腕に指を絡ませて目を閉じた。
今日初めて会った人なのに、ずっと不思議な包容力に引き寄せられていた。