第5章 親友編
「⋯⋯あっそうだ! ほらヴィクトルもお腹空いたでしょう、パスタ作ったんだけど食べる?」
「おお、ありがとう! すっごく美味しそうだ。君の手料理は全部食べるよ」
さっそく用意してたパスタとサラダ、ちょっとしたおかずも食卓に出し、夕飯を食べてもらった。
こんな時しか出来ないから、あなたは甲斐甲斐しく飲み物を出したり彼にでれっとした感じで寄り添う。
そんな風景を、セリアはニヤニヤした目つきで眺めていた。
「なんていうか、もう二人とも、夫婦みたいだなぁ」
「⋯⋯んっ!?」
綺麗な所作で口に運んでいたヴィクトルの手が止まり、あなたも水を吹き出しそうになる。
「もうセリアちゃんてば、何言ってんの! ふふふ」
「何喜んでんの名無し」
自分の気持ちは分かりやすいと思うが、ちらりと隣を見やると、彼も頬を緩ませながらそっと咳払いをしていた。
「そう見えるなら正直嬉しいんだけどな。一緒に生活してたからね、はは」
「先に同棲しちゃったみたいなもんですもんねえ、ヴィクトルさん」
「せ、セリアちゃん!」
「⋯⋯いや、そのとおりだね。なんというか、申し訳ない」
そう言う前に一瞬ギクッとした感じになった彼が気になった。
「どうして謝るの? 私が押しかけてたんだから」
「いいや、俺が引き止めてたんだよ」
「ヴィクトル⋯⋯」
二人で甘い雰囲気を醸し出し、譲り合っているとセリアがまたもツッコミをいれてくる。
「じゃあさぞ寂しいでしょう、今ひとりで」
彼女の意地悪そうな面白がる目つきに、あなたはハラハラした。
しかし彼はなんと、二人の前で素直に頷いたのだった。
「そうなんだ、とても寂しくてね。想像以上だったよ。今は土日に名無しちゃんに会えるのを生きがいに頑張ってるんだ」
そう吐露されてあなたはかぁっと赤くなったが、セリアは驚きに目を丸くしている。
「⋯⋯えっ? ヴィクトルさんって、もっと気取った人なのかと思ったけど⋯結構純情なんですね。私劇団員なんで芝居は見抜けるほうなのに、今ほんとに落ち込んでるように見えたんですけど」
「ははは、そうかい? だって本当に堪えてるからね」
ヴィクトルが苦笑する姿に、あなたの心は揺れていく。