第5章 親友編
「はぁ〜よかった。セリアちゃん普通にしてくれて」
「へへへ、だってこんなにイケメンで素敵なおじさまだなんて思わないじゃん?」
「お兄さんね」
「ははは。大丈夫だよ、実際おじさんだしな」
ヴィクトルは苦笑いする。あなたも彼に出会った当初普通にそう呼んでいたため申し訳なくなった。
「あっでもねえヴィクトルさん。この子もめちゃくちゃ可愛いんですよ? わかります?」
「もちろん。每日感じてるよ」
「ふふふ、じゃあ面白い話教えてあげますね。私達が中等科1年生のとき、クラスで文化祭の劇があったんです。題材は人魚姫で私は総合演出、名無しは人魚の一人だったんですよ。恥ずかしがり屋で目立ちたくないタイプだったんですけど、メイクしてドレス着た姿がほんと可愛くて! 文化祭のあとすんごい男子にモテちゃったんです!」
「うわぁ〜、いやぁそれは完全に想像できるな。大変だったでしょう名無しちゃん。俺が男子の一人でも絶対告白してたと思う」
「や、やだ恥ずかしいって!」
二人とも何を言い出すのだろうとあなたは止めようとしたが、セリアもヴィクトルも前のめりだ。
「でもですね、それ以来名無しは引っ込み思案になって。二人とも演劇クラブだったんですけど私が演者で彼女は裏方に回るようになったんです。名無しは小道具作るのもうまくて、だから洋服にも興味もって洋服屋さんで働いてるんだよね〜」
「うん、そうそう。よかったそっちに話をまとめてくれて」
自分の職業のルーツ的な話はその通りだった。少し照れるけれど、ヴィクトルは感心して話を聞いてくれていた。
「素晴らしいな。二人とも自分の好きなことに今も一生懸命取り組んでるってことだよね。そういう姿に俺もすごく憧れるよ。なにより二人の友情がいいと思う、中々ないよ、こんなふうに互いを思いやって信頼関係を続けていけるっていうのは」
私達は大人の彼にそう認められて、二人してちょっと照れてしまった。ただの若い女子二人の思い出話なのだが、経験豊かな彼に褒められて、こそばゆくも嬉しく感じる。