第5章 親友編
30分もしないうちに、ヴィクトルはあなたのアパートへ到着した。彼はいつも手土産を持ってきてくれるのだが、今日は特に自分たち好みのカクテル酒と洋菓子を選んでくれて、その心遣いに感謝した。
「わぁ可愛い、ありがとうね。ほんとに急に呼んじゃってごめんね」
「いやいや嬉しいよ。お友達は奥にいるの?」
「うん、結構酔っちゃってて」
玄関口で迎えたとき、スーツを着こなした彼に見惚れる。もう三度目なのにまだ慣れず、自分の家にいることがドキドキしてしまう。
靴を履き替えた際にかがみ、緩やかな黒髪がぱさりと落ちる横顔が素敵だ。
白シャツのネクタイを少しだけ緩め、こちらの視線に気づき微笑まれると、すぐに抱きつきたくなった。
「そうだ名無しちゃん」
「な、なにっ?」
「考えたらちょっと軽率だったかな? 夜に女性二人のいる家に来て」
「⋯⋯えっ、何言ってるの、ヴィクトルは私の彼氏なんだから、いつ来てもいいんだよ。今日はセリアちゃんがお客さんなんだからね?」
そんなことまで気にしてくれていた彼に、あなたは笑って語りかけた。するとヴィクトルも照れた様子でほっとしていた。