第5章 親友編
「私もすっごい会いたい⋯⋯! でも、その、ごめんね。実は今友達が来てて、中等科の時からの子で⋯⋯」
『あっ! そうなのか! ごめんごめん、大丈夫だよ俺は。じゃあまた今度にしよう。今日は二人で楽しんでね、その子にもよろしく――』
その時、背後にいつの間にかセリアが立っていた。
振り返ると彼女はにまっと笑みを浮かべこんなことを言った。
「ヴィクトルさーん、一緒に飲みましょうよ! 今呼ぼうって話してたんですよ! だめですか? へへへへ」
「ちょ、ちょっとバカ、やめてよっ!」
あなたは素で怒り、慌てて「なんでもない」と言おうとしたが彼の反応は違った。
『んっ? もしかして今の名無しちゃんの友達かい?』
「そうなの。ごめんねちょっと飲みが進んでて、気にしないで!」
『いや、俺なら全然平気だよ。行っても』
「⋯⋯えぇぇ!? やじゃないのっ?」
『うん、嫌じゃないよ。むしろ嬉しいな、君のお友達に紹介してもらえるのは。⋯あっ、もちろん名無しちゃんが反対じゃなかったらだけどね』
あなたは彼の懐の深さに驚いてしまったが、もちろんこちらも嫌なんかではない。ただただ申し訳なかったのだ。
「⋯⋯本当にいいの? 私だって嬉しいよ。いつか会ってもらえたらなって思ってたし⋯。でもこんないきなりのつもりなくて、どうしてもセリアちゃんが会いたいってしつこくて⋯!」
『あ、そうだったのか。はは、こちらも光栄だよ、そんなふうに言ってもらえて。本当に気にしないで。なるべく早く向かうから、あとで三人で乾杯しよう』
大人な彼は優しく声をかけてくれて、あなたは深く礼を言いひとまず電話を切った。
まさかこんなことになるとは。
「セリアちゃん。本当に来てくれるってさ。⋯⋯絶対失礼なこと言わないでよ!!」
「へへへ、言わないってば。まあいい人だね〜今のとこは。でもいつ化けの皮がはがれんのかなぁ。私が確かめてやる!」
間違った方向に意気込む彼女に、あなたはぷるぷると震えそうになった。
彼女は変わってるけどいい子だし、そんな大事にはならないと思うけれど、絶対にヴィクトルを守るんだと決意しながら。