第5章 親友編
彼と出会ってもうすぐ二ヶ月が経つ。
あなたがアパートを無事に見つけ引っ越してからは、約一ヶ月だ。
ここは広めの1LDKで前より部屋数は減ったが、建物は新しくセキュリティもしっかりしていて、住心地がいい。
元彼のことがあったためヴィクトルも安心してくれて、もう二回は遊びに来てくれた。
このひと月で一緒に過ごしたのは毎週土日で、お互いの家を行き来している。
彼のホテルに泊まっていた時は每日顔を合わせていたから、ちょっと寂しいといえばそうなのだが。
「毎週末一緒に過ごせるだけでもすごいよね。ていうか、ヴィクトルは本当に大丈夫かな。休みたいだろうし⋯⋯」
あなたは台所で野菜を切りながら、独り言をもらした。
目下の悩みはそれだった。本当に楽しみの週末であるが、普段忙しい彼の自由時間を奪ってるのではないかと。
でもまだそのことを聞けてない。
わがままを言えば自分はたくさん会いたいけれど、コンサルティング会社勤務の彼とブティック店員の自分では、忙しさも疲労度もまるで違うだろう。
今日は店舗の都合で勤務時間が短縮し、早く帰宅した。まだ6時だから夕飯を作るつもりだ。
そんなとき、カウンターにあったスマホが鳴った。画面を見ると、親友からのメッセージが入っている。
あなたには中等科から一番仲のよいセリアという友人がいた。同い年で今年二十二歳の女の子である。
「ん? え⋯? 今から来たい? セリアちゃんてば、いつもいきなりだなぁ。まぁいっか」
あなたは気軽に「大丈夫だよ」と返信した。ついでに切らしていた牛乳買ってきてともお願いして。
彼女とは遠慮なく何でも言い合える仲である。
しかし今回の恋愛劇については、正直最初は黙っていた。
この一ヶ月で大体のことを説明したのだが、セリアはまだ納得いっていないふしがあった。なぜならあなたの新しい恋人が、二十歳近くも年上の男性だからだ。
「はあ。今日は直に説教されそうだな」
あなたは呟きながらも、街の劇団員で忙しい親友と久々に話せることは嬉しかった。