第4章 彼の家編
そしてようやく料理が完成する。外はちょうど月が見えて夕食の時間だ。
二人は赤ワインで乾杯し、素晴らしい味に舌鼓を打った。
「おいしい〜っ。最高に美味しいこれ! 天才だよヴィクトル!」
「そうかい? そんなに褒められると嬉しいなぁ。これとあと三個ぐらい得意料理あるんだよ実は。⋯⋯あ、本当だ、焼き加減もうまくいったな。あぁよかった」
ダイニングテーブルの向かいに座った彼は胸を撫で下ろし、表情をふわりと和らげる。
「ふふっ。自分の作ったものを食べてくれる君を見てるだけで、幸せな気分になるな」
「⋯⋯へへ。私も同じだよ。こうして一緒に食事するの大好きだな。ヴィクトルのご飯もすっごく美味しい。もう全部が嬉しいよ」
二人は温かく気取らない空気の中、照れ笑いをした。
自宅ということでもっと緊張するかと思ったら、自然体の彼のおかげで驚くほどリラックスできていた。
そして食後のコーヒーと一緒に、デザートタイムがやって来た。
あなたはもじもじしながら冷蔵庫へ行き、テーブルに並べる。
ヴィクトルが口に入れた瞬間、目を輝かせてこう言った。
「美味い!! 凄く美味しいよ名無しちゃん! これ俺大好きだ!」
「⋯⋯そ、そう? よかったぁ⋯⋯ただのティラミスだけどね。簡単だよ」
「いいや難しいし手間がかかるものだよ。手作り初めて食べたけど、一番うまい! 絶対またこれ食べたいな!」
「はは。いつでも作るよ。ヴィクトルも甘いもの好きでよかったぁ」
普段落ち着いた彼があまりに感激して連呼するものだから、あなたも安堵して頬が緩まる。
自分のほうが素晴らしいおもてなしをしてくれたのに、そんなに喜んでもらえるなんて、ありがたいなと感謝した。
今日はたくさんヴィクトルの新しい顔を見れた気がする。やっぱり家に呼んでもらってよかったなと感じたのだった。