第4章 彼の家編
日が落ちてきて、いよいよ二人で食事の準備を始める。リビングを見渡せる広いオープンキッチンだ。
彼は慣れた手つきでラム肉にスパイスを振ったり、付け合わせを準備している。
あなたはサラダを担当し、デザートにもいそいそと取り掛かった。
こんな充実した幸せな時間があるなんて。
今はお客さんだからかもしれないけど、彼と生活したら毎日楽しいんだろうなと想像した。
「はあ、写真撮りたいなぁ⋯⋯」
格好良く料理をするヴィクトルを眺めていると、呟きが聞こえてしまったようで彼が振り向いた。
「えっ? 写真? まだ出来てないよ」
「あっううん、ヴィクトルの。⋯⋯いやなんでもない!」
あなたは慌てて赤くなり隠す。
しかし意図を察した彼は大人びた妖艶な目つきをした。
「そうか、俺のが撮りたいのかい? いいよ好きに撮って。でもあとで一緒にも撮ろうね」
「⋯⋯えっ!? いいのっ?」
「もちろん。恋人同士なんだから」
彼が口を笑ませて目配せする。あなたは「そっ、そうだよね」と赤面した。
はっきり口にされると実感がわいてドキドキする。
あなたは自然に彼をカメラに映したあと自分もさりげなく入ってみた。
緊張して変な顔だったが、黒髪の彼は柔らかい笑みを見せて映ってくれた。
「ああ格好いい⋯⋯嬉しいな、これ。ありがとうヴィクトル」
「おいおい、そんな俺の写真なんかで⋯⋯君はなんて愛らしいんだ」
彼はフライパンの手を止めてこっちに来る。
そしてまだスマホを持ったあなたを抱きしめたあと、無理やり頬にちゅっと口づけた。
「わっ、お肉、お肉! 焦げちゃうよ!」
「大丈夫だよ計算してるから。ね、口もしよ?」
「んんんっ」
なぜかいきなり気分が高揚してしまったらしいヴィクトルにキスされながら、あなたは集中力を失ってしまった。