第4章 彼の家編
スーパーから車で十分ほどの所に、いよいよ彼の自宅がある。
あなたはその先進的なデザインの建築物を一目見て、相当な高級マンションだと悟った。
五階建てで横長に広く、緑豊かな中庭つきの敷地だ。最上階に住んでいる彼は、ここを五年前に購入したという。
ホテルみたいな大理石ロビーは無人だがコンシェルジュを呼び出せるようで、館内のセキュリティもばっちりしている。
あとはラウンジとジム、プールまでついていて、想像を超える空間だった。
「わあ、部屋もすごい⋯⋯天井高いし広すぎるし家具も照明も、お洒落だねえ」
緊張しながら入った彼の自宅に、感嘆の息がとまらない。ダークブルーの壁に一面の本棚やアートも飾られており、重厚とモダンが合わさった雰囲気は、彼にぴったりだと思った。
部屋はリビングに主寝室、書斎とバルコニー、テラスも備わっている。
とくにお洒落だと思ったのは、下に段差があるくつろぎのスペースで、丸型の囲むような白ソファを見つけた。
「ねえねえ、ここすごい好き! センスいいねえヴィクトル」
「本当? はしゃいじゃって可愛いな名無しちゃん。じゃあここは君のお気に入りスペースにしよう」
「ははっ、やったー」
あなたは子供のように楽しんだあと落ち着いた。
彼はそばに腰を下ろし、くっついてきたので慌てて姿勢を直す。
彼はにこっとしたあと、少し気になった様子で見つめてきた。
「ほんとにこんな感じ大丈夫? 完全に俺の趣味だけど」
「もう素晴らしいし完璧だよ。ヴィクトル、ここに住まないのはもったいないよ」
「ははっ、そうかい? 確かにね。あまり家に居なかったから、良さも忘れてたかもしれない。⋯⋯でも不思議だね、君がいるともっと良く見えるな」
隣で甘い囁きをしてくる彼にびくつく。
ヴィクトルには一緒に住もうって誘われてるけれど、こんな所に住んだら色々勘違いしてしまいそうになると思った。