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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第2章 元彼編


「――いやこんな場所じゃだめだな。俺はもっとちゃんとしたいんだ。⋯⋯そうだ名無しちゃん、お腹空かない? なにか食べて帰ろうか。こんな日はぱぁっとやらないとさ」

いきなり食事の誘いを美しく細められた横目に受ける。

「お腹⋯⋯確かに空いたね。わかった! 今日はたくさん迷惑かけちゃったし、私にご馳走させて、お願い」
「いやダメだよ。俺そんなつもりで言ったんじゃないからね。あ、そうだ。中華なんかどうかな。行きつけのところがあるんだよ」

やたらと慌ただしく提案する彼が、少し不自然に映る。
しかしきっと元気づけようとしてくれてるのだろうと考え、彼に同意した。

そうして車はホテルから遠くない、街の中華料理屋へ向かった。



ヴィクトルとレストランへ行くのは、今回が初めてだ。ホテルの食事は部屋で食べたことがあるが、彼は普段仕事先で夕食も予定が組まれていることが多かったためである。

あなたはもしすごい高級店だったらどうしようと戦々恐々としていたけれど、到着したのはオシャレながら家族連れでも入れそうなモダンな料理屋だった。

「ここなんだね。いい雰囲気だし美味しそうな匂いがするなぁ。ドレスコードあったらどうしようかと思っちゃったよ」
「あのねえ。君は俺のことなんだと思ってるんだい? 毎日そんな堅苦しいとこなんか行かないよ。俺はジャンクフードも大好きだからね」
「うそ!」

入口で驚くと彼は「ほんと」と悪戯っぽく笑った。
まだまだ知らないことが多すぎる。話によるとヴィクトルはプライベートでは気取らない場所のほうが好きらしかった。

思ったより共通点があるかもしれないと、あなたは和む。

二人は店員に案内されたのだが、そのときに気になることがあった。

「おおヴィクトルさん、こんな時間に珍しいねえ」
「ごめんねヤンさん。予約してないんだが、二人席空いてるかな?」
「空いてるよ空いてるよ。特等席にどうぞ。⋯⋯フフッ」

彼より一回り上ほどの中国人の男性が、あなたを見てにんまりと笑みを浮かべる。
何事かと思ったがそそくさとテーブル席に案内された。

外のライトアップされたテラスがよく見える、落ち着ける席だ。
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