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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第2章 元彼編


翌日、あなたは朝早く目覚めた。隣にはヴィクトルの裸の背中があって、どきりとする。

彼の緩やかな黒髪は艶めいて柔らかそうだ。
近くで見る余裕がやっと出来たため、あなたは彼の太い首や肩、背中の線をじっと観察していた。

「⋯⋯いい匂い」

鼻を近づけて、自分よりもいい香りがする肌に触れたくなった。

彼は鼻が高く眉が凛々しい、きれいな顔立ちをしている。いつもはスーツを着こなす隙のない男性だが、今は寝息をたてて無防備だ。

「こんなに素敵な人と、しちゃったんだなぁ⋯⋯」

つい心の声がもれると、すぐそばの背中がわずかに揺れた。

「起きてるのっ?」
「⋯⋯ごめん⋯⋯今起きたよ」

くつくつと笑いながら、彼は眠そうな顔で寝返りを打った。気持ちよさそうに目を細め、あなたを腕の中に誘う。

「ヴィクトル⋯⋯っ」
「うん? おはよう。名無しちゃん」

前髪に優しくキスを降らされた。
あなたは独り言を聞かれたかもという恥ずかしさを無かったことにする。

かわりに彼は機嫌よく目を覚まし、半裸を起こした。
ふわふわの布団の下で、あぐらをかいてあなたを見つめている。

「あの⋯起こしてごめんね。もう少し寝てたかったよね」
「いいや、名無しちゃんに早く会いたかったから嬉しいよ」

まだ寝ぼけてるのか、ぱちっとウインクして彼は頬に手を伸ばしてくる。指先の感触だけで昨夜を思い出してしまい、あなたは言葉少なくなった。

「どうしたんだい? ふふっ。君は朝になると、俺のこと忘れちゃったのかな?っていうぐらい、腰引けてるよね。⋯⋯もしかして、昨日の良くなかった?」
「違うよ!」

あなたは焦って否定する。
そんなわけがない。あの瞬間をひとつひとつ辿るだけで体が火照ってくるというのに。

ヴィクトルに勘違いされたくなかったため、あなたは思いきって身を寄せる。

「んっ?」
「ヴィクトルとしたこと⋯⋯すごく気持ちよかったよ」

そう言って彼の頬にちゅっとキスをした。

「⋯⋯本当に? ううん、君は俺を舞い上がらせるのが上手いな、名無しちゃん」

彼は癒されたように微笑みを浮かべる。
お礼として返ってきたのは、唇への熱いキスだ。

「んっ」
「⋯⋯あぁ。本当にこのままがいい。起きたくないなあ」
 
上半身裸の彼に抱き込まれると、あなたはじたばたともがいた。
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