第1章 出会い編
あなたは高級ホテルの一室に招かれた。
吹き抜けの大理石ロビーにも圧倒されたが、部屋もまた格別だ。
リビングには上質な書斎机が置かれ、ふかふかの大きなベッドも二つある。窓は全面ガラス張りで、高層ビルの夜景がきらめいていた。
「ようこそ。自由にくつろいで構わないから。俺は先に風呂に入らせてもらうね」
上着を脱いだ彼は、そう微笑んで浴室へ消えた。
あなたは窓辺の白いソファに座り、疲れた体を横にする。
それから少し眠ってしまったみたいだった。
目を開けると、バスローブをまとった男が近くにいた。あなたは飛び起きて、彼を見上げる。
濡れた黒い髪を下ろし、色気がだだ漏れているヴィクトルを。
張りのある胸元につい目がいってしまい、体の隅々まで鍛えているのだと分かった。
「どうしたの? 疲れちゃったかな。休むかい」
「ううん。⋯⋯私も入っていい?」
「もちろん」
あなたは赤くなった顔を隠すように、急いで浴室に向かった。
明るい長い髪を上でまとめ、待たせないようにシャワーを浴びる。
そして備え付けのボディローションを丁寧に塗って、彼と同じバスローブを借りた。
なるべく堂々と現れると、彼は何をするでもなく、ソファの上で窓の外を眺めていた。
真面目な顔つきが、また様になっている。
「お待たせ、おじさん」
「うん。――おいで。名無しちゃん」
こちらに気づき、ヴィクトルがにこりと笑う。
あなたは彼に寄り添うように座った。
いよいよ行為をするのだ。彼は年齢確認もしないし、お金のことも聞いてこない。
無論、あなたはお金のためにここにいるわけではなかったが。
「⋯⋯本当に、君に触れてもいいの? おじさん、結構スケベだよ? 名無しちゃん、すごく可愛いから」
突然彼が思いもよらぬことを言ってきたので、あなたは少し吹き出してしまう。
その素の笑顔は、彼の心も和ませた。
「していいよ。⋯⋯したいの。おじさんと」
それが願いだと言うように、勇気を出して唇を近づける。するとヴィクトルは、一瞬の間のあとに、あなたに唇を重ねた。