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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第2章 元彼編


ヴィクトルは今日一日、あなたのことが頭から離れなかった。
午前中の役員会議やクライアントとの会合、夜の仕事がらみの夕食。何をしていてもだ。

「お疲れ様でした〜。ヴィクトル、このあと行きますよね? 今日は違う店にしましょうよ。いいラウンジ見つけたんです」

会社のビルの上から下まで喋りながらついてくる部下に、彼は口元を上げる。

「ああそう。俺はいいや。今日は他の人を誘えよ」
「ええっ? 何言ってるんですか、女の子はべらすの大好きでしょう、あなた!」

好き勝手言う年下の男をヴィクトルはちらりと見た。

「心外だな。あれは皆を楽しませるためにやってるポーズだよ、ポーズ。まあ飲むのは好きだけどな。ほら、俺にツケていいから楽しんでおいで」

ひらひらと追いやられ、一気に現金な顔をした調子のいい部下は、後ろ髪をひかれるフリをしながら駆けていった。

ヴィクトルは建物から出て、街灯の下で腕時計を見やる。夜の十時すぎだ。

彼はスーツのポケットに手を入れて歩き出した。
ホテルはここから歩いて五分で、いつも通り身軽である。

けれど心は普段よりも浮き足立っていた。
もしかしたらホテルに帰ったあと、この寂れた心を明るく灯すことになるかもしれない。

こんな気持ちは、久しく感じていなかった。
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