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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第7章 デート


「君はカフェとかご馳走してくれるだろう? 一昨日だってあんなに美味しい手料理たべさせてくれたばかりだよ。こういうレストランよりね、君の手料理のほうが何百倍も価値があるんだから。俺はそのぐらいの幸せをいつも味わってるんだよ」

ひとつひとつ語りかけられてあなたは感情がこみあげる。

「そう言ってくれて嬉しい。手料理なんていつでも作るよ! ただヴィクトルが喜ぶ顔みたいだけだから⋯!」
「本当に? ありがとう。俺もすっごく嬉しいよ。俺も同じなんだ、これはほんの一部で、本当はあの手この手で君を喜ばせたいと思ってるんだ。まだまだ足りないよ、君が俺にくれているものに比べたらね」

彼の愛情深いメッセージにうるっとくる。
自分なんて全然足りないのに。ヴィクトルこそが、存在で言葉で、その包みこんでくれる優しさで幸せにしてくれてるのに。




デートも終盤にさしかかったが、あなたはふわふわとした気持ちのまま、彼と手を繋いで薄暗がりの川岸を散歩していた。

草原の土手をあがり、長椅子に一緒に腰を下ろす。周りには同じようにしているカップルが多くいた。

でも離れた間隔で座っているから、二人きりの秘密の空間のようでドキドキする。

会話をしながら、ヴィクトルがふとさっき話していた音楽をスマホで聞かせてくれた。
二人でイヤホンを分け合い、あなたは気分が高揚して相槌をうつ。

「これこれ! 知ってるこのバンド、家で流れてたよ。格好いいよね〜声がハスキーで」
「そうそう。歌うまいし全部いいんだよ曲も。というか君のお父さんセンスいいねえ。俺もだけど」
「ふふっ」

何気なく話題に出してくることが面白く、嬉しくもなる。どう思われるかと心配したけれど、家族のことを思い切って話してよかったと感じた。

音楽の趣味が合うのはラッキーでいいことだ。もっともっと、彼のことが知りたいと思った。
年の差はあるけれど、そのぶん心の距離をさらに近づけたいからだ。
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