第7章 デート
「私も最近のはそんなに聞かないよ。学生時代に見つけたやつばっかりリピートしてるし。あとはお父さんの影響で昔のバンドとか――」
普通に話す中で、また父親というワードを出してしまい若干焦る。話題から仕方ないとはいえ、ファザコンだと思われたら嫌である。
しかし彼の関心事は別のことのようだった。
「あのさ、君のお父さんって⋯⋯やっぱり俺とあまり年が変わらない?」
彼がごくりと喉を鳴らして尋ねてくる。緊張が伝わってきたため、あなたは慌てて首を振った。
「全然違うよ。私はお父さんが44才の時の子だから、今65才なんだ。ヴィクトルのご両親のほうが近いんじゃないかな?」
へへ、と笑いかけると彼は驚きに目を見張る。
「そうなのかい⋯⋯? うちの親父と同い年だ。そうか⋯⋯」
「ええっすごい、同い年なんだねえ、若いねえお父さん!」
あなたは思わぬ共通点にはしゃいでしまった。なんだか彼の瞳にもほっとしたような思いが混ざりあっている。
「でも、お母さんはどのくらい? 聞いてよかったら」
「全然いいよ。お母さんのほうがヴィクトルからそんな遠くないかも。50才なんだ」
「えっ!?」
彼はそっちのほうが驚愕したようだった。
そうなのだ。あなたは家族のことをべらべら喋るタイプではなく特に言ってなかったけれど、自分の両親も結構な年の差があった。
「そう⋯⋯なんだ? ほんとに⋯⋯」
「なんかヴィクトル、すごい緊張が解けたみたいな顔してるね。もしかして気にしてたの?」
「い、いや⋯⋯そんなことは。⋯⋯嘘だな。うん、かなり気にしてるよ。やっぱり君のご両親にどう思われるかってことはさ。⋯⋯でもお二人がそうだからといって、俺が許されるわけではないんだけどね⋯⋯」
かなり神妙な顔つきになってしまい、あなたは焦る。彼はいつか会ってくれるつもりなのだろうか。
そんなふうに将来的なことを真剣に考えてくれる事実が、信じられないほどに嬉しい。
でも彼が重荷に思うような悪いことなど、何もないのだと伝えたかった。