【HUNTER×HUNTER】水面に映る雷光【キルア】
第5章 自覚と独占欲
「ついでだし、少し訓練するか」
「操作系は、懐(ふところ)に入られたら終わりだろ。
俺が相手してやる。本気で来いよ」
キルアに誘われ、始まった近接格闘の訓練。
テティスは空手の動きで踏み込むが、キルアの動きは雷のように速く、捉えきれない。
「遅い。もっと、流れを意識して動け」
背後に回られ、キルアの腕がテティスの腰を抱きかかえるように制圧した。
その瞬間、テティスの動きが止まる。
(……あ、つい)
背中から伝わる、キルアの体温。
暗殺一家で育ったはずの彼の手は、驚くほど温かくて、力強い。
テティスの心臓が、耳元でうるさく鳴り始める。
『……キルア、近い』
「……っ!」
キルアもハッとしたように手を離し、数歩飛び退いた。
沈黙が流れる。
風が木々を揺らす音だけが、不自然に大きく聞こえた。
「……悪い。……訓練だ、意識すんなよ」
『……意識、したの?』
テティスが上目遣いで尋ねると、キルアは顔を真っ赤にして叫んだ。
「してねーよ! バーカ! ほら、次行くぞ!」
その慌てた様子を見て、テティスはクスクスと笑う。
……私は、この時間が、たまらなく好きなんだ。