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【HUNTER×HUNTER】水面に映る雷光【キルア】

第5章 自覚と独占欲



港町の喧騒が遠のく路地裏。

キルアは、テティスの前に転がる三人の男たちを、冷めた目で見下ろしていた。
その指先には、まだ微かに青白い火花が爆ぜている。

「……立てるか」
キルアの声は、低い。
怒りというよりは、自分自身への苛立ちに近い響き。

「……怪我は」

『ない』

即答。でも、声が少し硬い。

テティスは、震える手で壁を背に立ち上がる。
彼女を襲ったのは恐怖だけではない。
自分の「価値」を品定めされたことへの、
吐き気を伴う嫌悪感だった。

『ごめん、キルア。私……』
「謝るなよ」

キルアが遮る。彼はテティスの顔を見ようとしない。

「狙われてんだ。お前自身が、な。
 ……言っただろ、一人になるなって」

そのぶっきらぼうな言葉の裏には、狂おしいほどの心痛がある。

キルアは、怖いのだ。
自分が一瞬目を離した隙に、この少女が
自分の手の届かない場所へ消えてしまうことが。

しばらくして、
テティスがぽつりと言った。

『……私』

顔を伏せたまま。

『今まで……
 運が悪いだけだと思ってた』

キルアは黙って聞く。

『でも……違ったんだ………』

テティスは顔を手で覆い隠し、絶望の息を深く吐く。


そんなテティスをキルアはたまらずギュッと抱きしめ、
今まで聞いたことのない優しい声音で低く囁く。

「大丈夫、俺がいるから…
 ――俺がいる場所が、お前の安全圏だから…」


この事件で、
テティスははっきり理解した。

自分は、ただ旅をしている少女じゃない。

狙われる側になってしまった。

そして同時に――
自分が戻る場所は、
もう一つしかないことも。


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