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【HUNTER×HUNTER】水面に映る雷光【キルア】

第5章 自覚と独占欲




薄く朝霧が立つ湖の横

朝の支度をしながら、
テティスは自分の変化に気づく。

水を操るとき、
以前より呼吸が安定している。

指先を動かすたび、水は生き物のように形を変える。
以前よりも、その動きは滑らかで、どこか温かい。

(……不思議。水が、私の言うことをちゃんと聞いてる)

かつての水は、彼女にとって「自分を守るための、冷たい刃」でしかなかった。
けれど今は違う。

ふと視線を上げると、キルアがこちらを鋭い目で見守っている。

「……動き、良くなったな。迷いが無い」

キルアの声。

その一言だけで、テティスの胸の奥に、波紋が静かに広がる。

『キルアが、いつも、見ててくれるから』

「は? ……別に、暇だから見てるだけだぜ」

キルアはそっぽを向くが、その耳の端がわずかに赤い。

テティスは小さく微笑んだ。
彼が時折見せる、この「不器用な優しさ」が、
今の彼女には何よりも心地よかった。


(気持ちが…落ち着いてる)

理由は分かっている。

キルアが、そばにいるから。

敵を警戒する時も、
不意に物音がした時も――
最初に視線を向ける先が、決まっている。

(……あ)

その瞬間、
胸がきゅっと縮む。

(私、今……)

自分の判断じゃない。
反射。

“大丈夫か”と確認したい相手が、
キルアだった。

それに気づいた途端、
少しだけ、怖くなる。

(依存、してる?)

でも――
違う、とも思う。

キルアは、
何も奪わない。
何も求めない。

ただ、そこにいる。
キルアがいるから、強くなれている。
そう思える。

それが、どれほど特別か。



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