【HUNTER×HUNTER】水面に映る雷光【キルア】
第5章 自覚と独占欲
目を覚ましたとき、
最初に感じたのは、嗅ぎ慣れた匂いだった。
焚き火の残り香。
夜明の冷気。
そして、すぐ隣にある、確かな気配。
(……キルア)
目を開けなくても分かる。
見張りの交代時間は、とっくに過ぎているはずなのに。
(まだ、いる)
それが、少しだけ不思議で、
同時に――安心した。
身体を起こすと、キルアはすぐに気づく。
「起きたか」
短い声。
いつも通りの、そっけない言い方。
『……うん』
テティスは外套を直しながら、
昨夜の距離を思い出す。
近かった。
でも、触れなかった。
(あの時の感覚…不思議。
心がキルアに近づけたみたいだった…)
その問いが、胸の奥に残る。
今よりももっと、仲良くなりたかった。
壁を感じない関係になりたかった。